Meccancotecnica Umbra社は、エンジン用不凍液循環ポンプのシールを製造しています。製造サイクルは、8時間ごとに約3回まわしています。自動車市場は品質要求の厳しい市場です。この市場向けの部品は、完璧で欠陥がなく、厳しい動作環境に耐える必要があります。Meccanotecnica Umbra社は、生産段階で、部品を検査するために信頼性が高く実績のある品質管理ソリューションが必要だということを認識しました。さまざまな画像処理システムのサプライヤを試した結果、必要としているソリューションはIn-Sight® 5000ビジョンシステムであるという結論に達しました。
適切な画像処理によるソリューションの探求
自動車市場では、すべてのコンポーネントがきわめて厳しい環境条件(振動、温度変化、風、雨など)に耐えるものであることが必要とされています。通常、1台の車両には複数の種類のポンプが使用されますが、車両全体で完璧な動作を保証するために、ポンプは約3バール(1cm2あたり約3kg)の圧力に対応する必要があります。このため、メーカーは部品を出荷する前に最高レベルの品質検査を実施しようとします。Meccancotecnica Umbra社は、市場で必要とされる厳しい品質基準を満たすために、画像処理システムを使用することにしました。
同社はある画像処理企業を選択し、複数の画像処理システムのテストを開始しました。最初のテスト段階の結果、システムの制約やサプライヤからのサポートが不十分であることなど、さまざまな理由により、テストに合格するものがないということを認めざるを得ませんでした。このため、製造サイクルでの品質検査は引き続き人間の手で行われ、この種の手動検査に伴う制約についての課題は解決されないまま残りました。
自動車コンポーネント検査におけるIn-Sight 5400
しばらくして、Meccancotecnica社の技術者がコグネックスの画像処理セミナーに参加しました。それがきっかけで、コグネックスに同社の要件を説明し、製造ラインを通過するすべての製品を検査する品質検査プロジェクトに関して可能性調査を要請しました。イタリア中部におけるコグネックスのパートナーのシステムインテグレータ(PSI)である、TEC社が、この検査ソリューションを担当しました。PSIネットワークは、コグネックスに特別に選ばれてトレーニングを受けており、画像処理アプリケーションや文字読み取りアプリケーションのターンキーソリューションを提供しています。TEC社は、検査用にIn-Sight 5400と文字読み取り用に2台のIn-Sight 5401の使用を提案しました。
それぞれのシールは、種類と寸法に応じて、カーボン、鋼バネ、シリコンなどさまざまな材質の9つのコンポーネントで構成されており、自動ラインで機械的に組み立てられます。組み立ての後、配送のために積載される前に、3つの検査ステーションに送られます。
わずか数秒で360度方向の検査
1番目の検査ステーションでは、各シールをわずか2秒で完全に回転させる間にIn-Sight 5400が24枚の画像を取り込み、シール外側面の完全な360度方向検査を行います。
2番目の検査ポストでは、カメラに登録されている10枚の画像を使用して、まだ回転しているシールの検査を続行し、シールを構成するさまざまな部品の表面を検査して機能を検証します。
3番目のステーションでは、回転の止まったシールに対して2つの検査を実行します。最初にシール内部の部品を約250ミリ秒で検査し、次に、製品にモデル番号、ロット番号、会社のロゴ、製造日が適切に刻印されているかどうかを検査します。これは600ミリ秒未満で実行されます。
すぐに設置でき、使用も簡単
このアプリケーションは、TEC社によって記録的な速さで開発され設置されました。試作品によってシステムが適切に動作できることを確認するまでに、20日間しかかかりませんでした。工場での設置は、システム全体の使用と保守担当スタッフのトレーニングに要した時間を除けば、1週間も経たずに完了しました。
最適な製造検査を実現する画像処理システムIn-Sight
In-Sightビジョンシステムの信頼性、変化する環境条件に対応する能力、さらにはコグネックスの画像処理システムで使用できる強力な画像処理ツールによって、TEC社はMeccanotecnica社と長期にわたる関係を確立することができました。Meccanotecnica社は、このソリューションの利点を考慮した結果、ほかの生産プロセスの品質最適化のために、同様のソリューションを導入する予定です。
Meccanotecnica社について
Meccanotecnica Umbra社は、1966年に設立され、1992年10月に株式会社として登記されました。創業以来、製造の基礎のほぼすべてを、当初は家庭用電気機器やさまざまな軽工業用機器向けの、電気ポンプ用メカニカル面シールの製造においてきました。数年後、MTU社は自動車市場に参入し、エンジン用不凍液循環ポンプのシールを製造するようになりました。同社の特徴ともいえるのは、生産能力と輸出量が常に高くなる成長をとげてきたことです。ここ数年、輸出の割合が全収入の約40%を占めており、50か国に販売しています。グローバル化がますます進む市場において、MTU社製品の競争力の高さが評価されています。