ロボットによるガラスの種類選択・位置決めシステム
生産ラインすべての工程における精度と信頼性を何よりも重視した自動車製造工場は、新しいビジョンシステムの導入により欧州一の高い生産性を実現しました。
Nissanが直面した問題は、既存の機械式中心位置決め装置では、主要な2車両で使用する新しいガラスのサイズに対応できないというものでした。中心位置決め装置は、ガラスの周囲6ヵ所で位置を確認し、生産工程の次段階に備え、ガラスが常に「中心」の位置を維持するよう制御します。新しいビジョンシステムには、今回の新しい2車種の正確な位置情報を提供するだけでなく、今後の新車種にも容易に適応できるものであることが求められていました。
こうした要求を踏まえて、NissanはCapley Marker社に対して、同社がこれまでにNissanで5台のカメラを設置した実績と、他のラインでカメラをCognex In-Sightに変換した実績があること、現在のサポートレベルに非常に満足していること、また、コグネックス公認のCognex PSI(パートナーシステムインテグレーター)であることなどの理由からCapley Markerをシステムインテグレーターパートナーとして選択しました。
このシステムはNissan MicraおよびNoteの生産ラインで使用するために供給されることになっていました。プロジェクトの主な要件は、Micraの固定式サイドウィンドウの右側(RHS)と左側(LHS)、Noteの固定式サイドウィンドウの右側(RHS)と左側(LHS)の4つのいずれかから、ラインで扱うガラスの種類を決定することでした。同様のシステムは、Qashqaiを製造する2番目のラインでも使用されています。
このラインでは、In-Sight 5100カメラを2台使用しており、組み立てラインの両側にあるセルにそれぞれ1台ずつ配置されています。カメラはそれぞれ、所定の高さになるように頑丈なスチールスタンドでセルのベースに取り付けられています。In-Sightカメラでは、CognexのPatMax®テクノロジーを使用しています。部品および特徴認識ソフトウェアの性能では業界標準となっているPatMaxは、最新の幾何学パターン照合テクノロジーを活用して、部品を確実かつ正確に検出します。このツールを使用することにより、厳しい条件下でも付帯設備が簡易化できる場合や、まったく不要になる場合もあるのでコストを大幅に削減することができます。部品や特徴認識で、PatMaxはビジョンシステムで得られる検査で最大の歩留まりと信頼性を提供します。
RJ-2制御を搭載したFanuc 6軸ロボットを使用してこのカメラは、ロボットに次の2つの不可欠な情報を提供します。まず、カメラから信号がロボットに送信され、ガラスの種類を確認します。次に、各サイクルでロボットが同じ位置でガラスを持ち上げられるように、カメラからロボットにガラスの位置座標を示す連続した文字列が送信されます。検出送信される座標は、X、Yおよびガラスの角度(前後、左右およびねじれ)です。
ロボットは、ビジョンシステムから送信されるデータによりガラスの位置を確認し、シール材を連続して滴下塗布する固定ノズルにガラスの端部を移動し操作します。そしてオペレーターがガラスを取り上げて車両に取り付ける位置までガラスを搬送します。
In-Sightカメラで座標位置が確認されると直接ロボットに中継され、ロボットが確実にガラスを処理できるようにしています。
設置担当プロジェクトエンジニアRory McCrystalは、次のようにコメントしています。「このビジョンシステムからは、生産ラインに必須の正確で信頼できる検出値が得られます。システムの柔軟性がこれまでより向上しているため、新製品の導入にも即座に対応できます。このような柔軟性の向上により、今後新製品を導入する際の切替時間が大幅に短縮されることが予想されます」