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スポット溶接アプリケーションでのディープラーニングの使用

スポット溶接の画像の上に重ねられた脳とノード接続を示すバナー

ディープラーニングテクノロジは、メーカーが電気コンポーネントの品質を損なうスポット溶接の欠陥を検出するのに役立ちます。

スポット溶接は、部品を接続し、電流の流れを維持するため、電気装置の性能に極めて重要です。スポット溶接に欠陥があると、電気コンポーネントの耐用年数が短くなり、費用のかかる返品や修理につながり、メーカーの評判を損ないます。製造段階におけるより多くの欠陥検出は、リコールやリワークの費用を削減します。

人間には溶接の欠陥を検出する優れた能力がありますが、つねに一貫性を維持することはできず、人材にも限りがあります。人間は、必ずしもすべてのスポット溶接を検査できるとは限りません。一方、スポット溶接検査を自動化すれば、より多くの欠陥を捉えることができ、製造工程の上流の問題を明らかにすることで、リワーク費用を削減できます。人間による検査のみに頼るのではなく、オートメーションを活用することの大きなメリットはここにあります。

ディープラーニングはソフトウェアアルゴリズムと統計モデリングを使用して、人間の脳の機能を模倣します。アルゴリズムは、異常を識別し、良品と不良品を区別するよう最適化されたニューラルネットワークを作成します。十分な時間とデータがあれば、これらのネットワークは効果的に自己学習を行い、性能が向上します。

では、メーカーがスポット溶接検査にディープラーニングアプリケーションを導入すべき理由は何でしょうか? スポット溶接検査に従来のマシンビジョンシステムが使えない理由は何でしょうか。その理由は主に、溶接の対象は3次元であり、本質的に不明瞭であることです。同じ形状または寸法の溶接は2つと存在しません。

Pin to pin weld, wire to pin/pad weld, wire to wire weld

(異なる種類のスポット溶接(写真左から右):ピンとピン、ワイヤとピン/パッド、ワイヤとワイヤ)

ルールベースのマシンビジョンシステムは、ソフトウェアを使用して、エンジンブロック上のシリアル番号や鋼鉄コンポーネントのエッジといったデジタル画像上の特定の詳細を識別します。特性がほぼ同一のコンポーネントの場合、特に威力を発揮します。

スポット溶接では、金属の各塊の寸法はわずかに異なります。そのため、組立ライン上で使用される大量のスポット溶接を検査するルールベースのマシンビジョンシステムの作成は極めて複雑です。

ディープラーニング検査アプリケーションは、欠陥のあるスポット溶接の画像と欠陥のない溶接の画像を比較することで、この課題に対応します。既知の欠陥を走査するよう1つの画像セットをニューラルネットワークに登録し、別の検証用画像セットが比較の基準点を提供します。

Three images of good spot welds

(良好なスポット溶接)

Spot weld with pitting, undersized spot weld, oversized spot weld

(スポット溶接不良(写真左から右):ピット、小さい、大きい)

スポット溶接検査におけるVisionPro Deep Learningの仕組み

コグネックスは、スポット溶接検査のような製造工程の自動化を簡素化するVisionPro® Deep Learningソフトウェアスイートを開発しました。VisionPro Deep Learningの中心的なツールは、スポット溶接検査アプリケーションで効果的に機能する以下の2つです。

  • Red Analyzeツールは、製造工程から欠陥を排除できるように欠陥を特定します。
  • Green Classifyツールは、検査ポイントの上流工程の品質と精度を改善できるように欠陥のクラスを作成します。

Red Analyzeツールの使用

Red Analyzeツールは、スポット溶接のデジタル画像上の異常を検出します。ユーザは正しい画像の外観を決定し、正しい画像からの逸脱にフラグを立てます。1つ目の画像セットは、欠陥のあるスポット溶接を認識するようにニューラルネットワークに登録します。2つ目の検証用画像セットは、登録データベースには公開されません。これらの検証用画像は、ソフトウェアが良好なスポット溶接とスポット溶接不良の外観について「現地検証データ」を確立できるようにします。

Red Analyzeツールには、以下の2つの登録モードがあります。

  • 教師あり:教師ありモードでは、(上述のとおり)ユーザが溶接の写真を撮り、欠陥や異常を絞り込み、各種類の欠陥を記録し、「これは欠陥である」とソフトウェアに伝えるようにラベルを付けます。
  • 教師なし:教師なしモードでは、ユーザは欠陥や異常のない画像から始め、「良品」とラベルを付けます。この基準から逸脱する画像は、欠陥として特定されます。

これらのモードのラベルは、VisionPro Deep Learning内のニューラルネットワークの登録用画像を生成します。検査では、ソフトウェアは生産ライン上の溶接の画像を分析します。ディープニューラルネットワークは、この生産ライン上の画像を登録済みの検証用画像と比較して、溶接が検査に合格であるか、不合格であるかを判定します。

Green Classifyツールの使用

Green Classifyツールは、生産ラインの上流の問題を診断するために使用される欠陥や異常のクラスを作成します。例えば、平坦すぎる溶接や異常な形状の溶接により、溶接機の故障が明らかになることがあります。分類ツールを使用し、ユーザはこれらのアーティファクトにラベルを付け、欠陥にフラグを立てて溶接機のオペレータにエラーを通知するように検査システムに指示します。
Red Analyzeツールと同様、Green Classifyには以下の2つの登録モードがあります。

  • シーンの分類:シーンの分類では、ユーザは画像に良品か不良品かのラベルを付けてから、ピットや不適切な形状など、欠陥を記録するタグを追加します。
  • 個々の欠陥の分類:個々の分類では、ユーザは撮影した画像とRed Analyzeツールの結果データを使用して、特定の欠陥や欠陥領域を分類します。

Flow diagram showing process for classifying defects individually and by scene

(シーンの分類と個々の欠陥の分類のプロセスフロー)

ユーザが画像を分類すると、ニューラルネットワークはクラスと検証用画像を比較し、正しい欠陥の種類を返します。

多くの場合、Red AnalyzeツールとGreen Classifyツールは順番に使用されます。まずRed Analyzeが欠陥や異常があることを検出し、次にGreen Classifyが異常を評価して欠陥の種類を判定します。出力される結果はラインオペレータに送信され、ラインオペレータが欠陥製品の取り扱い方法を決定します。

3 ディープラーニングアプリケーションの成功を高める決定

適切なタイミングでの優れた決定は、スポット溶接アプリケーションでのディープラーニングの成功に大きく貢献します。以下の3つの決定は最も重要です。

1. 投資効果を検討する

スポット溶接検査の自動化は、費用を上回るメリットを生み出す必要があります。ディープラーニングの適用には、ソフトウェアへの投資、給与の支払、機器の購入が必要です。さらに、システムの作成、テスト、実装の所要時間にも費用が発生します。自動化への投資は費用を削減するものでなければなりません。少なくとも、同等の費用でより優れた性能を実現する必要があります。
検査の自動化は、明確なROIの実現にはつながらなくとも、以下のような価値のある成果を生み出します。

  • 統計的なプロセス制御:データにより製造工程の上流の問題が明らかとなるため、早い段階で修正できます。
  • 継続的な学習:多くの画像がディープニューラルネットワークに登録されれば、徐々に精度が増していきます。
  • プロセスの文書化:検査の品質報告書を簡単に作成および共有できます。

2. 製造現場を正確に再現する

ディープラーニング検査に使用される工場自動化用カメラには、スポット溶接のあらゆる重要なデータを取り込むために適切な照明と位置検出が必要です。デジタル画像のグレアを制御し、影を制限することで、欠陥の検出が容易になります。溶接対象の物が人の目で見えない場合、ディープラーニングアプリケーションにも見えません。

ディープラーニングアプリケーション開発は研究室で始まり、その後ファクトリフロアへと移ります。製造現場を研究室で完全に再現するのはほぼ不可能であることは言うまでもありません。そのため、実用段階になったらなるべく早くアプリケーションを研究室の外に出し、製造現場でテストを開始した方がよいでしょう。ディープラーニングシステムは生産ラインから新しいデータを取り込むことができるため、検査の品質が改善されます。

3. 正確なラベル付けを簡単に行えるようにする

スポット溶接検査用にディープラーニングアプリケーションを開発するには、ピットやいびつな溶接など、一般的な欠陥を注意深く記録する必要があります。これらの欠陥には、大量の画像全体および恐らく数百に上るラベル全体で、正確かつ一貫したラベル付けが必要です。

ラベル付けの段階で行った作業品質は、その後のすべての結果に影響を及ぼします。そのため、開発者には、正確かつ一貫性があり、直感的で、VisionPro Deep Learningソフトウェアのユーザインタフェースのように理解しやすいラベル付けシステムが必要です。

ディープラーニングテクノロジは、本質的に曖昧な部分のあるアプリケーションに最適です。指紋や雪片のように、まったく同じスポット溶接は2つとないため、スポット溶接はディープラーニングベースのソリューションに適した候補です。ただし、ディープラーニングシステムにリソースを投資する前に、メーカーは次の重要な3つの要素を検討する必要があります。それは、ROI、正確なテストのために製造現場を再現する能力、そして画像のラベル付けと登録の容易さです。

コグネックスは、これらすべてに対応するソリューションであるVisionPro Deep Learningソフトウェアを提供しています。ソフトウェアに付属するRed AnalyzeツールとGreen Classifyツールは、まず欠陥を検出し、その後その欠陥を分類することで、コンポーネントの完全性を確保します。スポット溶接アプリケーションにこのソフトウェアを実装すれば、メーカーは製造工程の早い段階で欠陥を特定し、費用がかさむリワークの発生を防止し、高品質を実現し、消費者に製品に対する信頼感を植え付けることができます。

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