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リアルタイムフィードバック機能を備えた初の自動学習/試験チャンバーをビジョンシステムの活用で実現

Tufts University

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被験体の行動を研究者が観察する、という人手による実験は、多くの時間と費用を必要とします。リアルタイムの観察に割り当てられる人員には限りがあり、また人間による観察は本質的に主観が入り込みます。こうした制約に対処するために、タフツ大学(Tufts Center for Regenerative and Developmental Biology)は、Wireless Techniques社と協力して、小動物の行動を分析するための自動学習/試験チャンバーを初めて開発しました。このチャンバーを使用すれば、研究者に代わって、コグネックスのIn-Sight® Microビジョンシステムが被験体の行動を観察できます。

Tufts Centerの研究者は、生物が環境から学習する能力の基盤となっている分子構造の研究に、この新しい試験チャンバーを使用しています。光刺激を利用して、蠕虫(ぜんちゅう)とオタマジャクシに、特定の動作を行う訓練を実施し、その後の再現性も、さまざまな分子遺伝学的実験および薬理実験で試験されます。新しい追跡システムは、学習、評価の過程で、被験体の行動と能力に関する定量的なデータを提供します。これは、非常にユークな製品で、動物の動きを追跡できるだけでなく、被験体ごとの個別のフィードバックを同時に実施できるため、各被験体は個別に行うべき動作を学習できます。扁形動物のような単純な動物は、行動経路と神経伝達物質の多くが人間と共通しているので、組織内での記憶保持と伝達の特性についての理解を深めるための研究に、よく使用されます。新しいチャンバーでは、新しい薬剤化合物が認識能力に及ぼす影響についての試験を行うことが可能になりました。

Tufts Center for Regenerative and Developmental Biologyの責任者であるMichael Levin教授は、次のように述べています。「最新の認知科学では、行動と思考を生じさせる分子遺伝学的メカニズムと情報処理メカニズムの関連性を解明する試みが続けられています。この目標の生物医学的な側面には、学習と記憶を補助する薬剤を発見し、その薬剤が認識力に及ぼすさまざまな影響を理解することも含まれます。」

標準的な実験では、蠕虫は、皿の特定の部分に留まるか、その部分を回避するか、または一定の割合で移動するように訓練されます。蠕虫が動作を正しく実行すると、その見返りとして照明が減光されます(蠕虫は本質的に暗い所を好む)。

これまで、研究は人間によって行われてきました。しかし、手動で行動を評価する方法は、実験の発展性という点で明らかに限界です。人的資源と費用の制限から、限られた数の動物しか分析することができないからです。また、手作業では、実験者の判断や誤りが、結果に影響を与える可能性があります。例えば、扁形動物の学習能力に関してこれまで意見の一致が見られなかったのは、手動による訓練では被験体の数に限界があることがその原因でした。また、手動による方法では、別の研究施設で結果を再現すること、および他の科学者が元の実験を見て実験者によって見逃された傾向を発見することが困難か、または不可能です。

Tufts Centerは、研究者が介在しなくてもリアルタイムフィードバックを提供できる自動学習/試験チャンバーの設計、製作を、Wireless Techniques社に依頼しました。Wireless Techniques社は、有線/無線通信、検出、および信号処理を含むアプリケーションに対応する特注の電子機器と設備を設計および制作しています(現在、マサチューセッツ州ウォルサムに本社を置く製品およびシステム開発サービス会社のBoston Engineering Corporationが、Wireless Techniques社を買収)。コグネックスは、ビジョンシステムのサプライヤに指名されました。その理由は、試験チャンバー内での水の移動によって作り出される複雑な陰影効果があっても蠕虫の位置を特定できる、優れた能力を備えた画像処理ツールを有しているからです。

チャンバーの構造と機能

チャンバーは、格子状に配置された12個のセルで構成されており、各セルに蠕虫の生息している使い捨てタイプのペトリ皿を入れます。各セル内の環境は、その中にいる動物の行動に合わせて、ソフトウェアにより個別に制御されます。蓋の部分には、一連の発光ダイオード(LED)が配置されており、蠕虫の訓練に使用されるコンピュータによって制御されます。4個の高輝度LEDを使用してペトリ皿の四分円のそれぞれを照らすように設定することができ、また隣接する四分円から漏れる光は障壁で遮断しています。実験中は蠕虫に見えない赤色のLEDが常に照射されているので、ビジョンシステムは、蠕虫の動作に一切影響を与えずに蠕虫の動きを追跡できます。ペトリ皿には電極があるので、実験者は、動物に弱い電気信号を与えることもできます。

各実験は、Levin教授のチームが記述したアルゴリズムによって制御されます。最初に、ペトリ皿内での蠕虫の位置がビジョンカメラによって記録されます。次に、ゴールが設けてあるペトリ皿の四分円の1つで光を点灯するなどの操作を行って、光で照らされた四分円に泳いでいくことを蠕虫に教えます。そして、蠕虫の位置が、ビジョンカメラによって再び記録されます。蠕虫の位置(および移動の速度や方向といった二次的な数量情報)に基づいて、正しい四分円に泳いでいった場合は減光などの見返りを蠕虫に与え、また間違った四分円に泳いでいった場合には明るい光を点灯するなど、別の操作を行います。これらの一連の測定と操作は、プログラムが所定の条件(学習するべき動作を動物が理解したことを示す成績)に到達するまで継続できます。

システムは自動化されているので、人が介入しなくても、12件の実験を同時に24時間365日実行することができます。この結果、より多くの被験体に対して、より長期にわたる実験を実施することが可能になりました。このように数百万回の観察/訓練サイクルを実行できるため、手動による手法では現実的に実現不可能なきわめて高いレベルの訓練が可能になります。また、システムを使用することで、複数回の実験においても完全な一貫性が保証されるため、ほかの研究施設でも実験を再現することが可能です。より一貫性の高い学習環境は、データのノイズ量を減少させるのに役立ちます。ビジョンシステムによって記録された蠕虫の動作のデータを、インターネットなどを利用して共有すれば、ほかの専門家による確認や分析も簡単にできます。

ビジョンシステムの課題の克服

「マシンビジョンを用いることは、この自動学習システムにおける最も大きな課題の1つでした。」と、Wireless Techniques社の前社長で、現在Boston Engineering社の無線および検出技術部門でプログラムマネージャを務めているChris Granata氏は述べています。「ペトリ皿の側面に水が接触することで、水の表面が盛り上がる、もしくはくぼむメニスカスが発生します。これによって、時間とともに変化する影が生じ、蠕虫を識別するのが困難になります。このアプリケーションでは、蠕虫の位置を特定できる強力なビジョンツールを備えていることと、セルの数を簡単に増やせるように、コンパクトな筐体に収められたカメラ一体で完全独立型のビジョンシステムであることが求められていました。幅広いビジョンツールセットを備え、30mm×30mm×60mmの筐体にシステム全体が収まるコグネックスのIn-Sight Micro 1400は、このアプリケーションに最適でした。」
ランダムに変化する水の影を通して蠕虫を確実に識別するために、空の四分円の背景画像が20秒ごとに取り込まれます。蠕虫の位置を追跡すると同時に空の四分円内での影の画像を定期的に取り込むことにより、画像減算を実行してライブ画像から影の影響のみを消去できます。

蠕虫のおおよその位置を識別するために、ヒストグラムツールを使用して、最も明るい色付きピクセルが識別され、グループ化されます。また、画像を強調するために、いくつかの畳み込みフィルタとモフォロジィフィルタが使用されます。たとえば、モフォロジィダイレーションフィルタリングは、ごく近接している白ピクセルを互いに結合して、白い島状部分の輪郭を平滑化するのに使用されます。さらに、ブロブ検出ツールは、明るい色付きピクセルの最も大きなグループを3つ抽出し、大きさの順でソートします。ほとんどの場合は最も大きいオブジェクトが蠕虫を表していますが、蠕虫よりも大きな影が存在する場合もまれにあるため、それに対処するために複数のオブジェクトが追跡されます。

最終的には、科学者は、この研究システムを使用して、記憶の基盤となる分子構造についての新たな発見を得て、新しい向知性薬剤を開発することを望んでいます。

「この定量的な自動行動分析法を使用して、情報がどこでどのように符号化されるのか、ほかの組織から脳を再生した場合にその情報をどのように刷り込むことができるのかを調べています。」とLevin教授は述べています。「チャンバー内で蠕虫の遺伝子変化を起こして、学習能力を測定することで、どの遺伝子が学習と記憶に影響するのかを調べることができます。また、このチャンバーで使用されている非常に強力なツールは、記憶と行動のメカニズムを調査すること、および多動性障害(ADHD)と薬物中毒などの治療、神経毒の解毒作用や認知能力の向上を目的に開発された新しい向知性化合物の薬剤スクリーニングを行うことも可能にします。訓練プロセスと試験プロセスを自動化することで、従来は実験者がいるときのみに限られていた実験を、24時間365日稼働で、より多く実行することができるようになるため、研究の進展に大きく寄与しています。さらに、人手による観察では得ることが不可能な定量的データによって、学習と記憶のプロセスに関するこれまでにない新しい洞察も得られています。」

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